住宅基礎の基礎用語

基礎・地盤関連


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杭打ち基礎

建物基礎を杭で支持する構造。ここでいう「杭」は施工令告示1347号に規定されている。なお、小規模建築物基礎設計指針では「杭」ではなく、「杭状地盤補強」と規定され、主として住宅などの小規模建築物を対象としている。→杭状地盤補強を参照のこと

小径鋼管杭

50mm~200mmぐらいの一般構造用炭素鋼管を用いた杭。鋼管先端部に羽根(ウィング径)を付けた仕様が一般的で、比較的小型の重機(クローラータイプ、一部建柱車タイプも有り)により、回転及び圧入力により、地盤へ貫入させ支持層まで打設する。公的機関による検証を受けて技術認証技術、あるいは大臣認定工法として設計されるのが一般的である。

スウェーデン式サウンデイング試験

地盤調査方法の1つ。発祥はスウエーデン国有鉄道で採用されその後普及した。ロッド、スクリュー,錘などからなり土の硬軟等を判定する。静的貫入抵抗を求める。得られたデータは換算N値で表される。簡便でローコストで住宅地盤の調査に広く用いられる。ただしサンプリングができないこと、貫入能力が低い事などから調査結果を地盤設計に反映させるには他の現地調査資料と併せて検討する必要がある。

ボーリング試験~標準貫入試験

ボーリングマシーンで掘削した孔を利用して地盤調査の標準貫入試験を実施する。標準貫入試験はボーリング深度1mごとに、錘63.5kgを落下高さ76cmから自然落下させ30cm深さの打撃回数をカウントする。その打撃回数がN値とする。また、各貫入試験深さにおける土質サンプルが入手できる事と、サンプラーによるコア採取により各種の土質試験が実施できる。

N値

標準貫入試験で得られた試験結果をN値(無次元)とし、N値を利用して地盤の硬軟や締まりの評価、許容支持力の計算および各種土質定数への換算など多岐に利用される。なお、スウエーデン式サウンデイング試験で得られたN値は換算N値として標準貫入試験のN値に近似した数値として取り扱われる。

ラムサウンデイング

動的コーン貫入試験。ボーリングマシーンによる掘削孔はなく63.5kGの錘を自然落下させ、先端コーンが20cm貫入するための打撃回数をNd値として記録する。Nd=標準貫入試験のN値の近似値として取り扱う。スウェーデン式サウンデイングより貫入能力が優れている。

液状化

地下水で飽和した砂地盤が地震動により、液体状になる現象。重量のある構造物は埋もれあるいは倒れる、重量の軽い構造物は浮き上がったりする。

地盤補強工法

軟弱な地盤に建物を建築する時、地盤に何らかの補強設計を施し、建物の安全性を確保する設計手法。基礎下の地盤を平面的に補強する方法を平面状地盤補強、対して鉛直方向に補強する工法を杭状地盤補強と分類する。

平面状地盤補強工法

基礎底面から深さ2m程度を平面的に連続して地盤補強する工法代表的な工法として、表層地盤改良工法があげられる。現地土に地盤改良材(主にセメント系が用いられる)を混合、撹拌し支持力を増大させる。

杭状地盤補強工法

基礎底面の地盤を杭状に深さ方向に連続して地盤補強する工法。代表的な工法として、柱状改良工法、小径鋼管杭、コンクリート杭,木杭などがある。直接基礎と杭頭の接合は基礎スラブにのみ込ませないのが一般的で、のみ込ませた場合は水平力に対する安全性を検討する必要がある。

表層地盤改良工法(浅層混合処理工法)

平面状地盤補強の一種。地盤改良材(一般にセメント系)と現地土を混合撹拌し転圧することにより、支持力の強化を図る。使用される地盤改良材はセメント系の場合、原則六価クロム対応が推奨されており、その他施工環境への配慮から無粉塵タイプの採用が広がっている。

柱状改良工法(深層混合処理工法)

重機に取り付けられたロッド先端に混合撹拌用の羽根を装着し、地盤に回転貫入させながら、同時にロッド先端からセメント系固化材のスラリーを注入し、地中の土と混合撹拌させることにより、改良柱体を構築する。一般に400~800mm程度の改良径が採用されている。

不同沈下

地盤の変状、すなわち圧密沈下、盛土の収縮、付帯工作物の変状、地震等の自然災害などにより、建物に傾斜が生じたとき、不同沈下と総称する。このとき、建物の最高点と最低点との差を相対不陸量で表し、その不陸量をその間の距離で割った値を傾斜率という。

地盤の支持力(地盤の許容応力度)

地盤が上部構造物からの応力により(せん断)破壊した時の荷重を極限支持力とし、極限支持力に安全率をかけたものが長期許容支持力及び短期許容支持力とする。

地耐力

上部構造物の応力に対し当該地盤の許容沈下量を定めた時、生じた沈下量がその許容値に達したときの地盤の支持力を地耐力という。例として、1cmの許容沈下量を定めた構造物と2cmの許容沈下量を定めた構造物とを比較すると、許容地耐力は後者の方が大きくとれる。

接地圧

基礎底面の面積で建物重量を割った値。べた基礎であれば総重量÷べた基礎面積、布基礎は布基礎1m当たりの荷重÷基礎1mあたりの底面積で表す。

土の成分

土は個体(土粒子)、液体(水)、気体(空隙)から成り立っている。更に土粒子はその粒径により、粘土、シルト、砂、礫に分けられる。水、空気を多く含む地盤は一般に軟弱地盤を形成しやすい。

粘土質地盤

シルト、粘土。粒径が0.074mm~0.001mmのもの。透水性が悪く、含水量で性質が変化する。軟弱な粘土層は上部からの応力により、圧密沈下が発生し長期にわたり地盤沈下を引き起こす場合がある。

砂質地盤

礫、砂。粒径が0.074mm以上(礫は2㎜以上)透水性が良い。応力載荷に対して沈下が発生する場合、即時沈下により短期で収束する。飽和した砂地盤は地震時に液状化しやすい。

腐植土(有機質土)

川、湖に堆積した水生植物が分解し、周囲の土と混じり合った土壌。土の土粒子に有機質分が含まれるため、含水比が高く、軟弱であり、圧縮されやすい。したがって建築には不適な地盤である。

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