スクラップ市況、相場は膠着状態続く
異形棒鋼は製造コスト上昇だが需要回復まだ
■鉄筋市況動向
2023年度の国内向け需要は658万トン(前年比3.9%減)で、関東域内明細投入量も214万トンと低水準。スクラップ価格も大きな変動はないが、メーカーは事業を健全に持続させるために採算確保に向けた販売姿勢。
国内外ともスクラップ需要は回復しておらず、慢性的なスクラップ発生の低迷により需要家側(メーカー)では調達の手を緩められない環境が続いている。今後の需要、供給面共に値動きにつながる材料は乏しく、相場は膠着状態が継続するものと考えられ、市況は様子見中心で推移と予想。(日本住宅基礎鉄筋工業会 5月の総務委員会全体会議の報告より)
■異形棒鋼
東京地区 市況(現況と見通し)
異形棒鋼/先行き、じり高推移=新年度入り後、大型物件の需要は端境期を迎え、中小物件も盛り上がりを欠いた商況が継続している。商社筋の受注残は減少しており、需要の回復には時間を要するとの見方が支配的。
価格は、SD295・D16でt当たり11万4000円どころと前月比横ばい。需要者側は必要な材料手配をすでに済ませているため、模様眺めのムードが広がっており、買い急ぐ様子は見られない。
主原料の鉄スクラップ価格がおおむね横ばい推移する中、メーカー各社は値上げに向けて粘り強く価格交渉を進めている。需要者側は、実需の後押しがない中での値上げ受け入れには慎重な姿勢だが、人件費やエネルギーコストの上昇には一定の理解をしており、先行き、じり高で推移する見通し。(経済調査会2024年5月上旬調べ)
上値の重い展開が続く=SD295・D16でトン当たり114,000円と前月比変わらず。需要回復の兆しは見えず、市中はさえない商状が続いている。メーカー各社は製造コスト増加に伴う値上げ浸透に向けて強気の販売姿勢を継続しているが、限られた取引を巡る流通筋の販売競争は解消されず、市況底上げには至っていない。需要家も値上げに難色を示しており、上値が重い展開が続いている。散見された安値取引は払拭されているものの、値上げの浸透には時間を要するとみられる。目先、横ばいの見通し。(建設物価調査会、2024年4月10日現在 東京)