評定を取って以降はどうですか。

山本 やっぱり評定をとった時期からハウスメーカーさんの方も指定商品にするという動きが、同時進行的に進んでいったような気がします。その後20年くらいいろいろと動きがあったのですが、ハウスメーカーさんのユニット鉄筋に対する考え方、姿勢が変わりましたね。うちの事業規模も当初のころとは全然違うように大きくなりました。
 一つだけ自慢できるとすると、うちの会社は今関西で一番古いユニット鉄筋の会社です。当時、認定が評価され始めたときに、うちより大きなユニット鉄筋会社があった中で何とか生き残ったかなぁというのが実感ですね。

本社工場

外国人の採用にも力を入れられているようですが?

山本 現在、創桐の社員数は42~43人ですが、近年は日本人の採用が難しく、ベトナム人を18人雇入れています。ベトナム事務所もあり、7名で拾い出し、図面チェックなどをしてやっているので、ベトナムとのやり取りが必要なので本社事務所にもベトナム人の事務員さんを採用しています。

業界の見通しや今後の基礎鉄筋についてはどのように考えてますか。

山本 基礎鉄筋は、阪神淡路の震災、東日本の震災以降、オーバースペックになっていると思っています。それが今、シンプル化に振れてきている感覚があるので、もう少し鉄筋の数量が減ってくるんじゃないかと思います。今後材料費だけでなく加工賃や運賃の部分が大きく膨らんでいくと市場に受け入れられるのかな、と心配です。ハウスメーカーはユニット鉄筋から変わらないと思いますが、一般的な基礎屋さんの方は「現場組にしたら安いじゃないか」となって、またそっちに振れてしまう懸念もあります。
 聞くと関東の方は、町の工務店さんや一般の注文住宅で基礎屋さんがユニット鉄筋を発注して使うようになってきたそうですが、関西ではそういうところはまだ自分たちで組んでいる基礎屋さんが多い。なので、市場の大きさから言っても、関西は関東ほど大きな工場もまだなく、パイとしてはまだ残っているのかなと思います。

創桐さんの今後の展開については?

山本 私自身の当面の目標としては事業承継をちゃんとやっていくということですね。
 うちの次男はずっと創桐にいたのですが、今現場の鉄筋施工会社を自分で設立して、うちの製品をつかってやっています。こっちは需要があるみたいです。今営業に行くと「ユニット鉄筋を採用するけど職人を紹介しろ」という話が必ず出てくる。なので、うちの次男も「基礎屋さんを紹介するし、この鉄筋はうちで組みます」といって話を持っていくと意外と採用につながっています。うちの生産量の1割5分ぐらいは施工していると思います。
 創桐本体の会社を継ぐのはうちの長男の予定です。私も今年60歳になるのでそこで一旦区切りをつけようと思っています。そのためにこの2年間長男をあちこちに行かせました。長男も自分で会社をやっているので、最初の1年は勉強期間ととらえ、今年からは半ば常勤で創桐に来てもらいます。長男は業界をあまり知らないので、一昨年前から同業者の事務所や工場を見せて頂いて、あちこちにお邪魔しています。その中で創桐はどういう合理化が出来るか、どんな方向を目指すのか等、彼なりに一生懸命考えているようです。
 経営を早く渡した方が彼なりのビジョンができるでしょうしね。人は60歳を過ぎると考え方が保守的で、頑固になるだけですからね。

工業会への要望、ご意見はについては、

山本 業界の皆さんが集まってやっている以上、単に年3回会議があるだけではなく、何か見えるもの、形になるもの、還元されるものというのが欲しいですね。

■会社プロフィール
本社・工場:兵庫県三田市
 工場:播磨工場(小野市)
 ベトナム事務所(ホーチミン市)
年 商:10億円。
従業員:43名。

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